どこかに美しい映画村はないか

最近劇場で見た映画が、タルコフスキータル・ベーラビクトル・エリセと、「シネフィルに憧れるしゃらくさい大学生」スターターセットみたいな感じになってしまった。実際のところ、私のメンタリティはシネフィルに憧れるしゃらくさい大学生と同じ村に住んでいるので、それはまあ別にいいのだが、さすがに塩抜きをしないといけない。そう思って『アフリカン・カンフー・ナチス』を見たが、こっちの村はこっちの村でめんどうな因襲に支配されていそうではある。ちょうどいい塩梅というのはないものだろうか。


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劇中で「大きな黒人の女の子」と東条英機に紹介されている黒人女性ファイターの造詣があまりにも良い(本当に日本語で「おおきなこくじんのおんなのこ」と言っている)。このキャラクターを見るためにU-NEXTに加入する価値があるだろう。

いわゆる「B級映画」について、最近『DUNE』の新作が公開されたことにより呼び覚まされた記憶がある。かつて人がまだTSUTAYAに通ってDVDを借りるという暮らしを営んでいたとき、私はDUNEでも見るかと思って、間違って隣に置いてあったDUNEのパチモンを借りてしまい、DUNE自体に関する予備知識がまったくなかったので、途中までそれを本物のDUNEだと思って見ていたことがある、というものである。

そのあと本物のDUNEも見たが、正直パチモンのほうが現時点でも強く印象に残っている。「何かを作りたい」という思いが実らせる果実の大きさは、資本の多寡では測れない。『プラネット・デューン』がそもそも〈果実〉なのかどうかについては、議論の余地がある。