2022-01-01から1年間の記事一覧

そして駆け出す

真面目以外とりえのない高校生活。 したがって、私が深夜アニメというものを本格的に見始めたのは、大学合格を機に念願かなって上京し、一人暮らしを始めてからのことだ。取り壊されて今はもうない「ユー西畑」荘の畳部屋に敷いた布団に寝転がりながら、地元…

突如

友、突如、敵! 鯖、突如、寿司! 麺、突如、8!

伊勢丹、それは苦しい

仕事に時計が要るやろがい、と気づいて腕時計を買いに走った。スマホで十分な気がしていたので、腕時計をすること自体10年ぶりくらいだ。 安くてかっこいいのがいいからSwatchにしようと思って、昨日新宿の伊勢丹に見に行った。そしたら小さな店舗にふたり銀…

逃げろペプシマン!

その昔、ロシアには憂いを知らぬ若き世代が確かに暮らしていて、夏に、海に、太陽に笑みを送ると ―〈ペプシ〉 を選び取った。 *1 先ず一番に考えられる原因は、ソヴィエト連邦のイデオローグたちが真理は1つきりしかないと考えていたことにある。そのため〈P…

ただ垂直方向に落ちていく暗く深い、深い穴

過去の話ばかりしている人間に晩夏の風。『夏へのトンネル さよならの出口』とは一体なにか?これはつまり、過去にとらわれるな、というお話。 ネット上で「ジェネリック新海」という秀逸な評価を下している方がいらしたのでいそいそと見に行ったのが、なる…

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なんかもう逆に「ヌルスルタン」時代に行っておいてよかったかもしれん、という感じになっている。 www.jiji.com カザフスタンの首都がアスタナからヌルスルタンに改名されたのは2019年の3月末だったので、再度の改名となればヌルスルタンという都市の命は3…

サクサクやれ

友人と飲んでいたら、2008年の夏にその友人とふたりでモスクワとペテルブルクを旅行した時の写真のデータをもらった。友人は着いたその日にデジカメを地下鉄内でスられたはずなので、撮ったのは私だが、パソコンが壊れたりなどした際にどこかにいってしまっ…

広告(副音声)

『現代ロシア文学入門』が今日出るので、ひとり勝手にオーディオコメンタリーを書こうと思う。「オーディオコメンタリーを書く」とは? 私は批評家レフ・ダニールキン(1974~)の「クラッジ」という論文(原文に註や参考文献はないので、日本では「批評」に…

それはぼくの思い過ごし わるいことばかり思いつく

9月4日(日曜日)、近所の駅で油そばを食っていたら暇だったので、存在に気づいて、近所の別の駅のBOOKOFF(ブックオフ)にチャリで追突した。学生のときに(学生時代、それは長い)、ダルさがすごくて、散歩がてら近所のBOOKOFF(ブックオフ)にしょっちゅ…

生ハムのマリオカート

『NOPE』を見た。 基本的に私はホラーを見ない。怖いからである。たしかに私は臆病で小心者で腑抜けの腰抜け、尻子玉のひとつも彼女に買ってやれない甲斐性なしの根性なしかもしれない。しかしそれ以上に、ホラーを作る人と激辛料理を作る人は同じように意地…

将棋すな

珍しく対面で将棋を指した。 その日初めて会う人と将棋を指すというのがあまりに久しぶりすぎて(そもそも最近は「人と初めて会う」機会自体がほぼない)ほんとに緊張して、今俺は「社会」をやっているというハードな手ごたえがあった。盤を挟んだ方の中には…

むみんスイッチ

ウォン・カーウァイ『花様年華』を見た。 他人の不倫には毛ほども興味がないので見ている間じゅうひどく眠くて、それで思い出したのだが、以前『恋する惑星』を家で見ていた時も眠くてたまらなかった。カーウァイ作品は私の生の奥深くに手を差し込み、そこに…

ドゥーギンおよびドゥーギナの件に寄せて

ロシアの右派思想家アレクサンドル・ドゥーギンの娘で、哲学者・ジャーナリストのダリヤ・ドゥーギナ氏が、現地時間20日21時過ぎ、父子で参加したイベントからの帰路に自家用車に仕掛けられていた爆弾により亡くなったそうだ。 「誰がやったのか」という最大…

茄子のでかさを知る人よ

叔母からもらった。でかすぎる。 空の青さを知る人よ 吉沢亮 Amazon

水のかたち、ビールのおもみ

山種美術館には恵比寿の駅から向かった。坂をのぼり住宅街を抜け、お寺や墓地を横目に歩いて15分ほどで着く。先日行った太田記念美術館に比べるとだいぶ周辺が静かで、隣には八百屋。土曜ながら混み具合も控えめで、地下には悪の秘密組織みたいな自動ドアが…

虎子石もっちりポーチとは何の謂いか

暑い暑いで日が暮れるわい、と諦めて太田記念美術館に行ってみた。原宿の駅の程近くに位置する浮世絵専門の美術館である。現在のテーマは「浮世絵動物園」。 浮世絵には何らの知識もないので、誰の作品のどこがどうとか、そういう分析的な視点は知らない知ら…

おもっちナンバー1

私の地元には「そばっち」というマスコットキャラクターがいる。それは知っている。 だがどうやら彼(彼女?)は、「わんこきょうだい」という飲食物連中の筆頭格なのであって、ほかに仲間たちが存在するようだ。 それならどう考えても「おもっち」のほうが…

あの灰色の労働を

「昭和40年に母親にもらったと書いてある」と言って、父が石川啄木全歌集とやらを持ち出してきたので眺めていたら、 百姓の多くは酒をやめしという。 もっと困らば、 何をやめるらん。 一方の私は、飢えと貧困に喘いだ明治の農民たちの労苦を忘れ、まだ日も…

説教はデジャヴ

きれいじゃなくたっていい 考えすぎないほうがいい 上手でも味がなくちゃつまんない 坂本真綾「シンガーソングライター」 皆はまだ恐れている、見た映画の感想を言うことを。映画オタクを名乗るには知識が不足している?そう思うか? しかし、映画の感想なん…

つめた~い

知らんが、今日という日は「ビールの日」らしい。 だからというわけではないが、デパ地下でビールという飲み物を買ってきた。これまで生きてきてビールを飲んだことはなかったが、これを機に飲んでみようと思う。ペットボトルのビールって日本ではあまり見か…

自分の命の存在が外国に行っていない

2022年の年明けてちょっとしたくらいに珍しく父から連絡があって、「大学時代にサークルでお世話になった先輩がロシアについての本を出した。買うとよい(私はもらったが)」とのことだった。そっちはもらったんかい。 冒険のモスクワ放送: ソ連“鉄のカーテ…

確かめたのなら伝説じゃない

私は、何やら黒くて軟らかく、ねばっこいものを食べたのだが、しかし、それが何であるかわからなかった。*1 『ゴンチャローフ日本渡航記』より 由あってゴンチャロフの『日本渡航記』を読んだ。ゴンチャロフの『日本渡航記』を読まねばならない"由"とはいっ…

いかのおすし

新しいパソコンを入手した。 これまで使っていたノートパソコンを買ったのがたしか2014年だから、いくらなんでももうそろそろいいだろう。Wordすらまともに動かない。しかし買い替えて家に届いたと思ったら、初期不良で画面に何も映らず、数時間の格闘の末に…

ハマグチェ

今週早稲田松竹で濱口竜介のまだ見てないやつ、すなわち『PASSION』と『永遠に君を愛す』*1をやってるので、見た。2本立てで1300円って安いよね。今回はどちらも『偶然と想像』との併映だったのでそっちは見てへんが。 どうしてそんなに興味があるの、という…

のっぽさん

先日のふざけた感想群と一緒にするのも気が引けたので別枠となったが、『戦闘と女の顔』はとてもよかった。 監督自身がインスパイアされていると言ってはいるものの、邦題はやり過ぎなほどアレクシエーヴィチの著作に寄せられていて、なんか紛らわしい。原題…

愛ではまだ足りない?

Tell me where to goLove is not enoughWhen love is not enoughTell meWho can I run to? 坂本真綾「ダニエル」 皆はまだ恐れている、見た映画の感想を言うことを。映画オタクを名乗るには知識が不足している?そう思うか? しかし、映画の感想なんて何でも…

アナボル(あなたのボルシチはどこから)論争

濱口竜介が「不気味なものの肌に触れる」なら、こっちは「店で食ったものの写真を撮る」。熱々の料理が出てきて最初にすることが「スマホを構える」だというのは、正直未だに気恥ずかしさが消えない行為だが、日記代わりと割り切ってまめに撮っていると、ほ…

翼よ、あれがポロの火だ

先日、初台にある「シルクロード・タリムウイグルレストラン」に行った。 一足先に到着していた友人によると、その日はトヨサキさん御一行のパーティにより席が予約されているとのことで、私と友人は、おそらく普段は誰も座らないのであろう(※店員さんがめ…

とっても大好きコルネリア

「じゃ、没落の後は、なにが来るのかしら?」 ファビアンは、鉄格子のうえに垂れている小枝をむしり取って、こう答えた。「愚かさが来るんじゃないか、と心配してる」 (ケストナー『ファビアン:あるモラリストの物語』より*1) 『さよなら、ベルリン:また…

飯のことで喧嘩すな

ロシアの批評家コンビ(現在は解消)であるゲニスとワイリという人が書いた『亡命ロシア料理』という本があるが、1年ほど前にこの中の「帰れ、鶏肉へ!」という料理を実際に作ってみたという人の発言がSNS上でバズっていた*1。この本はそれ以前にも一度大き…