食べればナイトメアが必ず見れる

変な時間に寝ると変な夢を見る。みじめな我々の住む有為転変の世界では常識である。

① 生家の玄関先に立っている。ふと空を見上げると、羽をたたんだままこちらに滑空してくる鳥と、しっかりと目が合う。私を睨んでいるかのようだ。鳥はそのまま我が家の植え込みの土の上にどさっと落ちる。よく見ると、硬直した鴨らしい。死んでいるのかと思いきや、しばらくすると鴨は起き上がり、庭の奥の方へと歩いていく。後を追う。鴨は庭に転がっているトマトをついばもうとするが、まだ青くて固かったのか、吐き出す。私はトマトが好きなので無性に腹が立ち、棒で鴨を追い払おうとする。鴨は物置の床下に逃げ込み、姿が見えなくなる。すると物置の中から物音がする。どうやら鴨は物置の下に開いていた穴から中に潜り込み、物置に住んでいる私の兄に撫でられ、なついているようだ。

② 映画館。すでに劇場内は暗く、映画は始まっているか、始まろうとしている。広い室内の右上に目をやると、何かに対して警告を発するように、赤く四角いランプが音もなく点灯している。なぜなのだろうと思っていると、どうやら私が持っている煙草の火に反応しているらしい。なぜか私は両端に火をつけていて、煙草はもうほとんど細長い灰と化している。ランプの点滅のせいで迷惑をかけたのか、左に目をやると、他の観客3名ほどに怖い顔をされる。私の横にすでに死んだ祖母が座って、一緒に映画を見ている。

全然関係ないが、ロシアの音楽家アレクセイ・アイギ(Алексей Айги)のアルバムが今さらだが良いなと思って最近聞いている。世の中だいたいのことは「今さら」でしかない。〈幸運を司る女神には前髪しかない〉らしいが、俺はその女神を追いかけていって無理やりに振り向かせ、「どうしてコサックみたいな髪型なんですか?」と問う。

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