鬼太郎はリモコン下駄を履かされている

数か月前に買った缶のハイボールは正気を疑うほど高くて、飲むのがもったいないもったいないと思い続けるうち飲む機会を逸していた。しかし先日『駒田蒸留所へようこそ』を見たことが、今日飲まずしていつ飲むとおのれを鼓舞するきっかけとなり、ようやくふたを開けることができた。美味い。

f:id:mochigome_xpc:20231123214511j:image

『駒田』は、まるでつまらないわけではなかったが、90分という短い尺で朝ドラのダイジェスト版を見せられたような印象ではあった。主人公の記者の顔の造詣がどうにも歪んでいるように見えたり、性格がどう考えても終わっていて、ちょっとやそっとで更生できるようには思えなかったりしたことも、いまいち物語に入り込めなかった理由だろうか。

P.A.WORKS作品は、私の血となり肉となって私の魂とともにあの空を駆け巡っているが、リアリズムを追求することでアニメらしいフックを欠いた作品も時折見受けられる。まあそれはそれで「うすしお」という感じで悪くはないのだけれども、他方、リアリズムの惰性を血の掟によってパンチの利いたハイパーリアルに塗り替えていったのが『true teas』であったことを忘れるべきではない。それは言い過ぎかもしれない。

f:id:mochigome_xpc:20231124150222j:image

血の掟という観点から言うと(?)、人に勧められて見た『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、まったく鬼太郎に思い入れがない自分でもじゅうぶん楽しめた。物語の導入部は誰がどう見ても『犬神家の一族』なのだが、そういや幼いころに漫画やアニメやドラマで触れた『金田一少年の事件簿』って、こういうドロドロした復讐譚みたいなのばっかだったし、よく皆あんなの見てたもんだ、と懐かしく思い出した。とはいえ、近年の流行を見るまでもなく、「復讐」とか「仇討ち」って一級の娯楽なのですよね。

www.youtube.com