水のかたち、ビールのおもみ

山種美術館には恵比寿の駅から向かった。坂をのぼり住宅街を抜け、お寺や墓地を横目に歩いて15分ほどで着く。先日行った太田記念美術館に比べるとだいぶ周辺が静かで、隣には八百屋。土曜ながら混み具合も控えめで、地下には悪の秘密組織みたいな自動ドアがあったし、居心地はよかった。特別展「水のかたち―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―」。

小林古径「河風」

なぜか上の絵だけ撮影可ということだったのだが、特に展示の目玉として押し出している雰囲気もなかったのに、なぜだろう。

日本画にはさほど興味がなく生きてきたので、いい絵だなと思ってもなかなか作者や題名をおぼえきれない。今回は企画展の展示内容に即した図録は販売されていなかったので、案の定今もひとり画家の名前を思い出せない状態である。無責任な一消費者的観点からすると、日本の美術館も(といっても海外の事情に通暁しているわけでもないが)写真撮影がもっと容易になればいいのにと思うのだが、たぶん無理なんだろうな。

前田青邨「大物浦」、の絵葉書

とはいえ、展示自体は非常に面白かった。たぶん私が知らないだけでスター揃いだったはずだし、どの作品もかなり印象には残ったけど、とりわけ中村正義「日」という作品が、どういう構図でこの人はモノを書くんや、という驚きがあった。

nakamuramasayoshi.com

美術館で水のかたちとなった私は、流れるままにビール。キリンシティでメガというサイズを頼んだらグラスがでかすぎて、世界の縮尺が狂ったのかと思ってめちゃめちゃ笑ってしまった。

ドスン