ただ垂直方向に落ちていく暗く深い、深い穴

過去の話ばかりしている人間に晩夏の風。『夏へのトンネル さよならの出口』とは一体なにか?これはつまり、過去にとらわれるな、というお話。

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ネット上で「ジェネリック新海」という秀逸な評価を下している方がいらしたのでいそいそと見に行ったのが、なるほどジェネリック新海、ジェネリックほしのこえ」だった。違法行為(暴力)へのハードルが低いという点まで含めてばっちり(?)似てた。だが80分強の尺で熱烈なキスまで持っていかれると、生きることの足腰が弱い人間は愛の速さについていけない。パンフレットによると本作はデートムービーとして設計されているらしいが、これをもし高校生カップルとかが見に行ってるんだとしたらほんとうに許せない。もっと許すべきでないことがこの世界にはたくさんあるにもかかわらず。

駅のホームの黒髪の美少女とか水平線上の花火とかひぐらしとか入道雲とか、すべてが様式美という感じで、これが日本じゃ!よう見とけよ!と叫びたくなる。応援上映だったら叫んでたと思う。『夏へのトンネル さよならの出口』応援上映やるなら絶対行きます。しかし、鹿が日常的に電車に轢かれる土地にあんな高層マンションはないだろ。

ちなみに、映画のあとには汁なし担担麺や羊肉餃子を食べる決まりになっている。

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いつも混雑しているのだが今日に限っては入店時に私しか客がおらず、麺の喉越しはやわらかく、辛みはおだやかで、餃子はジューシー、ビールはよく冷えていた。混じりけなしの天国であったかに思われたが、おなかがいっぱいで太平天国の乱。

わぁ~

しかし実際問題、『夏へのトンネル さよならの出口』を見たあとに餃子とビールをひとりでキメている人間のもとには、最早どのような夏へのトンネルもさよならの出口も存在しない。未来へ抜ける道はなく、ただ垂直方向に落ちていく暗く深い、深い穴があるだけである。わぁ~。

 


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