ハマグチェ

今週早稲田松竹濱口竜介のまだ見てないやつ、すなわち『PASSION』と『永遠に君を愛す』*1をやってるので、見た。2本立てで1300円って安いよね。今回はどちらも『偶然と想像』との併映だったのでそっちは見てへんが。

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どうしてそんなに興味があるの、というほどに濱口作品は浮気だの不倫だのばかり描かれているが、他人の浮気には興味がない*2ので、浮気をやめなさーい!と思いつつ見るほかない。だから『永遠に君を愛す』はどこを楽しめばいいのかわからなかった(エリナ?)*3。『PASSION』も浮気の話っちゃ話だが、こっちはなんか知らんが良かった。煙突の煙。聖女になろうとしてなれない河井青葉と、悪女になろうとしてなれない占部房子の対比(役名を忘れた)が、若干ドストエフスキーがやりそうというか、『罪と罰』のソーニャとか『白痴』におけるアグラーヤとナスターシャを思わせる造形でおもしろかった。

濱口作品についてはなんというか、そういう不倫だ浮気だというプロットとか、「傷つき/ケア」みたいな問題設定には正直あまり興味がなくて、ただショットとか演技とか、物としての映画の造り自体のほうに純粋に魅力を感じているかもしれない。これまで『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』『ハッピーアワー』『偶然と想像』『不気味なものの肌に触れる』『天国はまだ遠い』『親密さ』『PASSION』『永遠に君を愛す』と見てきた中で一番好きなのは『親密さ』だ。『親密さ』もほかの濱口作品同様、見ている途中はほんといたたまれなくてうんざりしちゃうのだが、第1部のラストの長回しの印象と、第2部終わってのちのまとめのラストシーンの爽やかさが激烈。Chu!

いい映画だな~と思っても、ラストシーンをしっかり憶えている映画って私などの頭だと意外と少なくて、ほかにはアレクセイ・ゲルマンの『フルスタリョフ、車を!』くらいかもしれない。映画の前に早稲田のうだつ食堂で徳島ラーメン。「徳島が東京を救う」旨のビデオメッセージがずっと店内に流れていて怖かった。

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*1:これは短い作品なので、『不気味なものの肌に触れる』と同時上映だったのだが、『FLOODS』ってホントにいつか撮られるんでしょうか

*2:興味がないは嘘だった。『WHITE ALBUM』is 私的最良アニメーション!

*3:そういえば、東京事変浮雲=ペトロールズの長岡亮介がミュージシャン役で出演していて驚いたことをしばらくして思い出した。見どころです(?)