おもっちナンバー1

私の地元には「そばっち」というマスコットキャラクターがいる。それは知っている。

だがどうやら彼(彼女?)は、「わんこきょうだい」という飲食物連中の筆頭格なのであって、ほかに仲間たちが存在するようだ。

それならどう考えても「おもっち」のほうがかわいいし、健気な感じがあると私は思う。

彼(彼女?)は客人をもてなすために一心不乱に餅をついている。客に満足してもらえるようなコシのある餅をつこうと思えば、妥協は許されない。なるほどもてなし好きの彼(彼女?)のこと、周りへの微笑みは絶やさないが、しかし笑いに身を任せきってしまえばそれは気のゆるみにつながり、気のゆるみは餅の質の低下に直結する。コシのない餅など竜骨の腐った船のようなものである、それは見た目が餅なだけで餅とは似て非なる何かなのだ、彼(彼女?餅に性別ってあるの?)は常々そう考えている。

それゆえ、おもっちの目は常に真剣である。笑ってはいない。

にもかかわらず現在のところ、おもっち単体をフィーチャーしたグッズはまだない。これは明らかに、氏の成した労働の果実を不当に接収し私腹を肥やしている者どもの存在を意味する。端的に、これは搾取である。これ以上、おもっちに対する餅を餅とも思わぬ悪逆非道が続くなら、我々は立ち上がる。民衆の声を聴け。暴徒はなく、暴政があるのみ。岩〇県観光協会を許すな。天が裁かないのなら私たちが裁くであろう。